徹底して使いやすさにこだわり商品開発!
今回取り上げる「PressIT」は「ワイヤレスプレゼンテーションシステム」と銘打たれていますが、いったいどんな製品なのでしょうか?
井上さん、こうした会議室でプレゼンをするときに、PCの接続に手間取ったことはないですか? プロジェクターに接続したのに画面が映らないとか。
しょっちゅうですね。ちゃんとつながっているはずなのになぜか映らなかったり、ケーブルの端子が合わなかったり……。待っている人たちの視線が痛いところまで、もはや「会議室あるある」ですよ。
では、ボタンひとつの操作で、ディスプレイやプロジェクターにPCの画面を表示できたらいいと思いませんか?
そんな、まさか。
そのまさかです。PressITはPCなどのデバイスと送信機をつないでボタンを押すだけで、資料の共有を実現する製品です。ディスプレイ側に接続する受信機と、発表者のPC側に接続する送信機のセットになっていて、送信機のボタンを押せばPCの画面をワイヤレスでディスプレイに表示することができます。

▲ 取材はHDコムを用いて行いました
PCにケーブルを接続する手間がいらないわけですね。送信機側につなぐPCには、あらかじめ専用ソフトウェアを入れておけばいいんですか?
いえ、ソフトウェアのインストールは不要です。送信機をつないで、ボタンを押す。2ステップで映像が出ます。
本当にそれだけですか?
それだけです。
失礼しました。あまりにシンプルなのでつい……。他社製品は実行ファイルを起動しないといけないとかありますよね。
そうですね。その手間がないことが大きな特徴の一つです。使い勝手の面で他社にはない機能もありますよ。例えば入力切替えですね。一般的なディスプレイやプロ ジェクターだと、PCとケーブルをつないだあと、
わかります。「入力1」につながってるかと思ったら「信号が来ていません」とか表示されて、途方に暮れたりするんですよね。
PressITは、送信機のボタンを押すと自動でディスプレイの電源が入り、入力も切り替わります。ディスプレイにもリモコンにも触らなくていいんです。 (*HDMI-CECの機能を有するPJ/FPに限ります)
そこまで勝手にやってくれるんですか。
どんな状態で何をやっていてもボタンさえ押せば映る、という形に特化しています。開発で最も力を入れた機能のひとつですね。
あの、ずっと気になっていたんですが……。このご時世、リモートワークも増えて、会議室に集まるのも気を使うようになりましたよね。そんな状況下で、対面でのプレゼンで用いるPressITを開発するのは……。
まさに、緊急事態宣言後は「これ誰が買うの?」と悩んでいました。チーム内からも「これ使ってもらえるんですか?」という声を聞きましたね。

モチベーションも下がりますよね……。
そうですね(笑)。でも5月に入ってから、考え方を変えたんです。
先ほど「コロナ後に力を入れた」と言っていた部分ですか。
そうですね。緊急事態宣言下の大型連休に入る直前に、メンバーとの話の中で「ソーシャルディスタンス」という言葉に「ん?」と引っかかったんですよ。会議室のなかで人同士の距離を保つのに、ワイヤレスで使えるPressITは役に立つのでは? と。PressITがあれば、ケーブルを手渡したり、みんなが使うリモコンに「触る」必要がなくなるのでは!っと。
だから「シンプルにボタンさえ押せば映る」ようにしたんですね!
しかし、送信機は他の人と共有することもあるかもしれませんので、急きょ抗菌コートも追加しました。「ソーシャルディスタンス」と「抗菌」を中心にした、「新たな時代の会議ツール」というコンセプトに変えることで、これでいける!と、メンバーのモチベーションも高まりました。考え方を変えることで、開発をぐっと前に進めることができたんです。